熱恋~やさしい海は熱砂の彼方~

「なぎさちゃん、ヒドイっ。みさきのこと、“おバカ”だと思ってるでしょっ!?」

「そんなこと全然思ってないよっ」って言えないあたしがいた。

小っちゃい頃ならともかく、中3にもなって自分のことを“みさき”と呼ぶ彼女のことを、あたしはもちろん、クラスのみんなだってクチにこそ出さなかったけど心の中では、どぅなんだろう?と思っていたし。


文句ナシにカワイイんだけど、でも、ぶっちゃけ、みさきちゃんって、どぅなのよ? そう思わせるようなエピソードは山ほどある。

制服のスカートのファスナーが何時間も全開のままだったなんてことはよくあることで、パンツを後ろ前逆にはいてきたこともある。


ある日の下校途中に突然…、

「ねぇ、ねぇ。ゲッキョク駐車場って、全国どこ行ってもあるねぇ?」

…と言ったこともある。どうやら彼女は、“月極(ツキギメ)駐車場”のことを月極(ゲッキョク)駐車場というグループ企業だと思っていたらしい。


またあるときは…、

「“トムソーヤの冒険”って旅をしながら妖怪とかをやっつけるおハナシだと思ってた」

…とも言ったこともある。
< 10 / 200 >

この作品をシェア

pagetop