熱恋~やさしい海は熱砂の彼方~

もう先生を見ても、ときめくものがなにもない。のべつまくなしにいつでも見せてくれていたジョージ・スマイルも、どこかいやらしいニヤケ顔にしか見えなくて、背筋がぞっとするほどだった。もはや先生への恋は、昨夜、みさきちゃんから電話があった時点で終わっていたんだとあらためて思う。


あたしの興味はといえば、先生が連れてきた見知らぬ男のコのほうへとすでに移っていた。だけど、それはクラスのみんなだって同じだったと思う。

「みんな、おはよう」

「おはようございまーす」

朝のあいさつをしながらもクラスのみんなはまちがいなく、見知らぬ男のコのほうに意識が行っていたと思う。

「さっきからみんな気になってるみたいだから、早速紹介することにする。今度、うちのクラスに転入することになった比嘉航平(ヒガコウヘイ)くんだ」

比嘉航平……。

まるで学園ドラマの主人公がテレビの中から飛び出してきたみたいな現実離れした男のコ――それが転校生・比嘉航平くんの第一印象だった。

うちの学校の男子は、その大部分がジャガイモのようなボーズ頭に、日に焼けたゴボウのような色の肌をしていた。おまけにまゆげは太いし、沖縄特有の濃い顔つきときている。

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