熱恋~やさしい海は熱砂の彼方~
そんな中にあって、そよ風になびくサラサラ前髪の下にのぞいて見える比嘉航平くんのまなざしは涼しげで、肌だってうちの学校の全ての女子より白かったし、ニキビなんてただのひとつも見当たらない。


「比嘉は生まれも育ちも東京だが、お父さんが事故でなくなられて、お母さんと一緒にお父さんの実家のある沖縄に引っ越してくることになったんだ」

そっか、東京から来た転校生なんだ。どーりで、あたしたちとはなんか違うと思った。

「じゃあ、比嘉、自己紹介をしてくれ」

先生にうながされ、東京から来た転校生が教壇に立つ。クラスの全員が彼に注目する。


「比嘉…航平です……先生がいま言ったとおりなんで、他には特に言うことはありません」

愛想のない、ぶっきらぼうな言い方だった。そもそも教室に入ってきたときから、面白くなさそうな顔をしていたけど。


「お、比嘉は無口なクールガイか? 今までうちのクラスにはいなかったタイプだな。じゃあ、先生が代わりに紹介するぞ。みんな聞いて驚け、比嘉のお父さんは、なんと俳優の比嘉洋介(ヒガヨウスケ)だ」

「おお~っ」

「スゲェーっ」

先生のひとことにクラスじゅうが沸いた。
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