特別なのは私だけ
決意
今日はシンくんに会いたくなくて少し遅めに家を出た。

「あれ?アヤ?」

その声に反応して無意識に走ってしまった。

「おい!待てって!なんで俺からはにげるんだよ!!」

あれ?この声…
腕を捕まれふりかえると

「なんだータクミおはよう。」
ホッとしたような残念なような。

「お前なんでこんなおせーの?シンならとっくの昔に行ったぞ??そしてなんで逃げた?」
最後の方ちょっと怒ったようにタクミがいった。

「学校遅れるかなぁーって思って??」
目をあわせられない。

「ふーん…」
全然信じてくれてないけどそれ以上はなにも聞いてこなかった。

タクミもただ家が近いだけの腐れ縁。

「ってか、タクミいつもこんな時間に家出てるから学校ギリギリなんじゃないのー?たまには早く出なよ!」

「いいんだよ!遅刻じゃねーし。この時間の方がいいんだよー」

「なんで?」

「バカか?その分寝れるしうるさいお前にも会わなくてすむ!!」
どーだと言わんばかりの態度でタクミが言う。

「そんな自慢げに言われても…」
我慢出来ずに笑ってしまった。

「まぁ久しぶりに一緒にいってやるよ。」

「だね!そういえばタクミ高校に行ってから一緒に行くの入学式以来じゃん!一緒にいってあげる。」

「アヤのくせに生意気」
頭をポンッと叩かれた。あれ?タクミって身長こんな高かった?生意気!と心のなかで思った。口に出したらまた叩かれそうな気がしたから。

「そーいえばお前まだシンにつきまとってんの??」
ドキッとしたと同時に涙がこぼれそうになった。

「まさか!私だって成長してます!」
精一杯笑って見せた。大丈夫、笑えてる。

「昨日まで好きとか叫んでたくせに?」

「昨日ですっぱり諦めたの!…え?ってかなんで知ってるの??」

「はぁ…お前本当ばか。」
あきれたようにタクミがいう。
「朝っぱらからあんなでかいこえで言ってるからこの辺じゃお前有名人!」
笑いをこらえながらタクミがいう。

「えっ…?ぇえー!!うそ?!…恥ずかしい。」
急に恥ずかしくなって下を向いてしまった。

「まぁそれも今日から聞かなくてすむんだろ??ってか恥ずかしがるとか今さらじゃないか??」
タクミが小バカにしたようにいう。

「どーせばかですよ!!どーせ……諦めないといけないんだから。」
最後の方は声にならない声で自分に言い聞かせていた。

「なーアヤ…」
タクミが急に真剣な顔になる

「なに?」
なんか緊張する。

「このままだと…遅刻する!!」
そう言って自分だけ走り出した。

「ちょっと!!タクミ!待ってよ!ずるいーひどいー!」

「アヤ!負けた方ジュースおごりな?」

「そんなのいやだからね!!」

そんな言い合いをしながら二人で走った。
タクミに追い付こうと必死になりながら学校まで走る。

「はぁ、はぁ、アヤ俺の勝ちなぁ!昼そっちいくから!ジュースな!」
そう言ってタクミは自分の教室にそのままいってしまった。

「ハァ…ま、ゴホッ、ハァ.待ってよ…」
息が切れてタクミに文句が言えない。
気づいたらタクミはすでにその辺りにはいなかった。
「あんの、ばか!」

教室に行くとマミちゃんがすぐに来てくれた。
「アヤ…あんた大丈夫??ってかなんでそんなボロボロ。昨日の事??大丈夫?」
すごい心配そうにマミちゃんがいってくれる。

「マミちゃんありがとう。実は…」
とさっきまでのことを全部話した。
マミちゃんは一人で大爆笑していた。

「タクミ相変わらずだねー。」
と笑いをこらえながら言う。

「笑い事じゃないから!」

「はい、はい。まぁでも…シンくんのことでまた泣いたでしょ?目が腫れてる。なんかあったら言いなよ?」
マミちゃんにはバレバレだ。

「うん。ありがとうマミちゃん。」

「よし!!」
頭を撫でてニコッと笑ってマミちゃんは席に戻る。

窓からの風が気持ちいい。
昨日あんまり寝てないから…
眠たくなってきた。
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