特別なのは私だけ
「オイ!」
声と共に首もとに冷たい感触。

「冷たっ!!」
同時に飛び起きる

「お前何寝てるんだよ!!!」
目の前にはタクミ

「あっ…寝ちゃってた。でもタクミ昼休みって…」

「あのなー?もう昼」
あきれたようにタクミがいう

「あっ、おはよーアヤ。ようやく起きたか」

「マミちゃん!なんで起こしてくれないの?!!」

「あんまり気持ち良さそうだったし…先生も起こさなくていいって。その代わりこれ」
マミちゃんが何かのプリントを渡してきた。
よく見ると明日までに済ませておくようにと手紙が添えられた課題だった。

「ちょっと!マミちゃん起こしてよ!こんなたくさん…やだよー!!」

「ごめんね」
と語尾にハートでもつきそうな言い方をしてきたので何も言い返せなかった。

「ってかタクミ本当に来たんだね?飲み物買いにいく?」

「は?そこにあるだろ?」
さっきまで首もとにあったであろうものを指差す。

「え?だって私が負けたんじゃ…?」

「あのな!あんなかけにもなんねー勝負に勝っても嬉しくねーから。んぢゃなー」
そう言ってタクミは教室に帰っていった。

「タクミ何しに来たんだろ?」
マミちゃんの方を見る。

「さぁ?まぁそれ飲めば?昼終わるよ?パンも食べる?」
マミちゃんが買ってきてくれたパンを渡してくる

「うん。ありがとう。課題も手伝ってね?」

マミちゃんは笑いながら
「はい、はい。わかってますよー」とちょっとめんどくさそうに返事をした。

あ…タクミにお礼言わなかった。
次あったら言わなきゃ。



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