アイ・ミス・ユー
すると、いつの間にか背後にいた今野くんが感嘆の声を漏らした。
「さすが主任…………、チャレンジャーっすね」
「なに悠長なこと言ってるのよ。ここ1週間の仕事、全部やり直しになるのよ?」
「えーっ!じゃあ明日の合コンはキャンセルしなきゃ」
「あなた好きな子はどうしたの。諦めるの?」
「それはそれ。これはこれ。男ってそんなもんですよ。彼女じゃないなら合コンくらい行っちゃいますよ」
偉そうな口調で当然のように言い放つ今野くんの背中をどついてやった。
なんだか無性に腹が立ったので。
「そんなんだからうまくいかないのよっ」
「イテッ。明日の合コンは主任も来る予定だったのになぁ〜、残念!」
ポロリと発言した今野くんは、一瞬動きが止まった私に気づいて不思議そうな顔をした。
慌てて元の落ち着いた表情に戻して、咳払いをする。
「とにかく、なにかしらの形でフェアなりセールなりはやることになると思うから、どっちに転んでもいいように仕事しなさい」
やや腑に落ちないような今野くんだったけれど、「はぁ〜い」とふてくされ気味に返事をして自分のデスクへと戻っていった。