アイ・ミス・ユー
海老と味噌が絶妙にマッチしたラーメンを、私と金子が体を丸めてカウンター席ですする。
二度目のこのお店は、飲み会帰りのサラリーマンやOLで賑わっていた。
「ん、美味い」
「おいひいね」
2人でモグモグと食べながら、空腹にラーメンスープが染み渡っていくのをしっかり堪能している。
「明日、終わるかなぁ……仕事」
思い出したくはないけれど、ついつい気になってつぶやいてしまった仕事のこと。
ギクッと痛いところを突かれたみたいに、金子が苦笑いした。
「ごめんね、俺のせいで仕事増やしちゃって」
「ほんとにねっ。……ていうのは、冗談半分。マンネリ化したフェアを少しずつ変えていくのは大事だと思うし」
「年明けのセールはもっとうまいこと考えないとな」
「今から年明けの話は聞きたくないっ」
わざと箸を置いて耳を塞ぐ仕草をしたら、よそよそしくお冷を注がれた。
まるでビールを注いでゴマをするように。
「大丈夫。明日までになんとかなる。だってみんな頑張ってるしね。売上も去年より絶対伸びる自信がある」
「……ふふ、そうね。あの翡翠ちゃんでさえ、足を引っ張ることなく頑張ってるものね」
「彼女はここ数ヶ月でグンと成長したよね」
ラーメンを食べつつ、2人で笑い合う。
なんだかこうして顔を合わせて笑うのも、自然になってきた。