アイ・ミス・ユー
「なんでか、金子くんに大丈夫って言われると大丈夫な気がするのよね」
「え、そう?」
少し驚いた顔をした彼は、目を細めて嬉しそうに笑った。
「前向きな言葉は気持ちも前向きにしてくれるからね。仕事に関してはポジティブに行きたいし」
「仕事に関しては……か。プライベートは?ほら、その……恋愛とか」
どうしてこの時、恋愛なんて言葉を口にしたのか。
自分でもちょっとどうかしてると後悔した。
それで慌てて言い訳しようとして、いらないことを口走ってしまった。
「いや、あのね。今野くんに聞いたのよ。明日の夜合コンに行くって。金子くんも参加するんでしょ?」
「あいつ、余計なことを……」
合コン話は内緒にでもしたかったのか、金子はガッカリしたように肩を落とした。
「ご、ごめん。別に詮索するつもりは無いんだけど……」
嘘つき、と自分自身を責める。
本当は気になっていたくせに。
ひとりで身悶えする私をよそに、彼がポリポリと頭をかいた。
「俺は合コンに参加表明した覚えはないんだよ。あいつの早とちりってやつ。そもそも事の発端は酒田部長に見合いをすすめられて、それで……」
「お見合い!?」
驚きすぎて、知らぬ間に大声で聞き返していた。
自分でも戸惑うほどの声の大きさだったので、急いで口を手で塞ぐ。
一方の金子は、「しまった!」という顔をしていた。