君に捧ぐ、一枝の桜花
病院の帰りに吉野にとって厄介な者に出会ってしまい、吉野は時間を潰された。やっと解放され、自分の宿る木へと帰る。飛んでいる吉野に小さな公園のゴミ箱が目に留まった。
ふわりと地面に降り立ち、袂から包みを出す。

「・・・・」

じっと包みを見つめる。振ってみると、かさかさと音をたてた。

「一体、何が入って・・・!」

吉野は手中の中のそれに視線を落としたまま、唖然とした。

「・・・っつ」

奥歯を噛み締め、それを握り締める。そして、再び来た道へと駆け出した。
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