どこまでも、堕ちていく。

突然名前を呼ばれた驚きで椅子から立ち上がった私。
周囲のお母さんたちの視線が一気にこちらに集まる。

「大丈夫ですか?どこか具合が悪いとか?」

心配そうに私の顔を覗き込んでくる直樹。

「さっきから何度もお名前をお呼びしていたんですが。どこか具合が悪いなら保健室のほうで…」
「いえっ!少しボーッとしてしまって」

恥ずかしい。
いつから名前を呼ばれていたんだろう?

「それなら良かったです。じゃあもう1人のクラス役員は月影さんということで」
「はい……。え、役員!?」
「ですので投票の結果、月影さんにクラス役員をお願いすることになりました」
「!!?」

ただでさえ不安な新学期。
まさか自分がクラス役員に選ばれるなんてー!





「仕方ないわよ!消去法でこうなるのは」

テンション低めの私とは真逆、開き直ったように笑っているのは同じくクラス役員に選ばれてしまった由美だ。

「消去法?」
「専業主婦で子ども1人。さらに去年役員してないお母さんてことになれば…」

簡単な投票でクラス役員に選ばれたのは私と由美、そして同じような事情を持つ3人のお母さんたち。
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