どこまでも、堕ちていく。
「担任って、あの頼りない若い男の先生っての?」
「まあ…」
「ふーん。そういう事情なら構わないよ」
「!」

道弘があっさりとOKしてくれたことが意外だった。
今日は機嫌が良いのか、少し穏やかな表情をしている彼。
昔から彼の機嫌が良い日は家の中が明るくなる。

私はふと昼間、直樹に言われたことを思い出していた。

"最近ご家庭で何か変わったことありませんでしたか?"

多分雅紀の様子がおかしいのは、私と道弘のピリピリとした空気を感じ取ってのことだと思う。

「雅紀がいつもお世話になってる先生だもんな」
「うん…」
「そういえば最近アイツと連絡取ってないの?隆志くん、だっけ?」

道弘の口から出てきた名前にドキッとする。
道弘が一方的に私と隆志の関係を疑っていることは知っているけど、こんな風に直接聞かれたことはなかったから。

「あれから連絡してないよ」

私のスマホをチェックしてるんだから、多分連絡を取ってないことは知っているんだろうけど。

「隆志はあくまでも幼馴染だけど、パパが嫌がるなら今後も連絡はしないから」
「そう。それならいいけど」

どうやら彼にとっての"要注意人物"は隆志だけらしい。
最近の彼だったら、どんな男性にでも嫉妬心をむき出しにしそうなものだけど…。
同じ男なのに直樹は眼中にない。
そんなところが何となく道弘らしいと思った。
思い込みが激しいとうか。
もちろん私は"先生"とも、他の男性とも、不倫なんてするつもりはないけれどー。
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