俺様社長と結婚なんてお断りです!~約束までの溺愛攻防戦~
「い〜〜や〜〜!! 無理っ、どう考えても無理。 洸ちゃんと結婚なんて、絶対服従の奴隷契約結ぶようなもんだもん」

「今だって似たようなモンだろーが」

「うっ・・・確かに」

思い返せば、最近プライベートな時間なんてあっただろうか。アパートと会社の往復。休日も何やかんやと洸ちゃんに振り回される日々・・こんなんで、彼氏が出来るはずもななかった。


「お前はどうせ今後も彼氏なんて出来ないし、俺が貰ってやるって言ってんだから素直に聞いとけよ」

「イヤです」

「あぁ!? 羽衣子のくせに俺様のどこに不満があんだよ?言ってみろ」

ぷいっとそっぽを向いた羽衣子の口を洸がつまんで、自分の方を向かせる。

蛇に睨まれたカエルって、こんな気持ちだろうか。
仮にもプロポーズ?されてる立場な筈なのに、この扱いって・・・洸は何があっても洸なんだな。羽衣子は呆れを通り越して、もはや尊敬の念を抱いた。



「ーー私だって、結婚くらいは好きな人としたいもん。 洸ちゃんのことは好きだけど、兄妹愛って言うかさ・・男女の好きとは違うよね」

羽衣子は言って、チラリと上目遣いに洸を見やった。

「ばーか。 なに本気にしてんだよ?
俺が羽衣子みたいな地味な女とどうこうなる訳ないだろっ」

そう言って爆笑してくれるんじゃないかな〜と期待を込めて・・・だけど、残念ながら羽衣子の期待通りにはいかなかった。
むしろ、最悪のパターンかも知れない。


洸は羽衣子の頭に手を回し、ぐっと自分の方に近付け耳元で甘く囁いた。


ーーじゃあ、男として惚れさせてやるよ。 覚悟しとけ。
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