イジワル御曹司と花嫁契約
彼の大きな胸の中に包まれて、さっきまで不安で仕方なかった気持ちが安らぎに変わっていく。


「大丈夫、俺が絶対に死なせない」


 彰貴の言葉は、なぜか本当に大丈夫になるような気がするほど重みがあった。


「……うん」


 彰貴の背中に手をまわし、私も力強く抱きしめる。


大丈夫、きっと上手くいく。


自然とそう思えるようになって、息を吸うことが楽になった。


大きく深呼吸すると、彰貴の匂いに全身包まれて、とても温かい気持ちになった。


 ……彰貴が、好き。


愛してる。


もう止められない。


 互いをしっかりと抱きしめながら、どれほどの時が流れたのだろう。


 終了予定時刻の五時間はすっかり過ぎていて、六時間が経過していた。


抱き合った手をほどき、並んで長椅子に座る。


手は恋人繋ぎをして、彰貴の肩に頭を寄せていた。


 そうして六時間半が過ぎた頃、ようやく手術中の赤いランプは消えた。


ほどなくして、担当医が出てきた。
< 114 / 280 >

この作品をシェア

pagetop