イジワル御曹司と花嫁契約
「ここ……一人暮らしですよね?」


 自嘲ぎみに笑いながら言うと、コンシェルジュのお姉さんは困ったような笑みを浮かべて返事を濁した。


「こちらは、来客用のお部屋が一部屋、寝室が二部屋、書斎が一部屋、バスルームが二つと衣装部屋が一つありまして、バルコニーにはプールもございます」


「プール付きの家……」


 色々突っ込みどころ満載で、何から処理していったらいいのか分からない。


「共有施設も含め、ご案内しましょうか?」


「いえ、もう大丈夫です」


「かしこまりました。それでは何かご不明な点や困ったことがありましたら、こちらの電話をお取りください。コンシェルジュデスクに直通しております」


 壁にかけられた電話機。


まるでカラオケルームみたいだ。


「分かりました。ありがとうございます」


 コンシェルジュのお姉さんは深々と一礼して出て行った。


エレベーターが到着し、下へ降りていく音を聞き、ようやく脱力した。


「はあああああ」


 大きなソファにダイブして、うつ伏せになる。


さすが高級ソファ。


とても弾力があり、気持ちがいい。


……でも。
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