イジワル御曹司と花嫁契約
ドアが開き、部屋に入ってきた人物と目が合った。


「お、本当にいた」


 彰貴は、飼い始めたペットを探すような顔付きでリビングを見渡し、そしていることが分かると安堵の笑顔を見せた。


「お邪魔してます」


 ソファに置いてあったクッションを抱きかかえて、照れくささを隠しながら言った。


 当然といえば当然なのだけれど、部屋に入ってきた人物が彰貴でほっとした。


まだ勝手が分からないから、部屋に来る人がスタッフなのか彰貴なのか、はたまた私の知らない人がひょっこり訪ねてきたりする可能性もあるわけで一々緊張する。


「飯はどうした?」


「十六時頃に二十五階のラウンジでアフターヌーンティーセットを食べたから、まだ全然お腹空かない」


「早速食べたか」


 彰貴は嬉しそうな様子で、シャツのネクタイを外す。


「食べ放題って聞くと、なんか利用しないと損な気がしちゃうんだよね。貧乏人の悲しい性というか」


「ほう、いいこと聞いた」


 いいこと? 何がだ。


分からなかったので受け流す。
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