イジワル御曹司と花嫁契約
だから今私が、心臓の音が彰貴に聞こえてしまうんじゃないかってくらい大きく鳴っていても、誰も笑うことなんてできない。


きっと誰もが私のように顔を赤らめてしまうから。


 彰貴は自分用にブランデーをグラスに注ぐと、バーカウンターを出て私の隣に座った。


 まだ飲んでいないのに顔が赤くなっていることを気付かれてはいないだろうか。


妙にドキドキして彰貴の顔を真っ直ぐに見られない。


今更何をそんなにドキドキしているのか。


かっこよくて見惚れてしまったなんて、恥ずかしくて彰貴には絶対に知られたくない。


「乾杯」


 低音の色っぽい声と共に、グラスがカツンと音を立てて重なりあった。


 やばい、本当に、なんでこんなに緊張してるのってくらいドキドキしている。


胸の熱さを抑えるために、ぐいっとお酒をあおる。


夕焼けみたいに綺麗な色のカクテルは、喉越しが良くほのかな甘みが口の中に残った。


「おいし……」


 感心するように、一気に三分の一ほど飲んだグラスを眺めながら言った。


彰貴は目を細めて嬉しそうに私を見つめていた。


ふと見ると、彰貴のグラスのブランデーはもう半分なくなっていた。
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