イジワル御曹司と花嫁契約
歩くたびにスニーカーから水が沁み込んでくる。


使い古したスニーカーは底がすり減っていて、すぐに水が浸透してくる。


ぐちゃぐちゃと不快な感触が足裏を伝う。


 前を見ると、私くらいの年齢の女の人がお洒落な長靴を吐き、ピンク色の傘をさして歩いていた。


私には、雨の日用の靴を買うお金なんてない。


 先進国といわれる日本だけれど、貧富の差は確実にあった。


今まで自分は貧乏だと悲観したり意識したことなんてなかった。


ずっと公立の学校に通っていたから、周りも似たような境遇の人がいて、お金がなくて大学に行けなかったのは私一人ではなかった。


むしろ、私立の大学に通えるくらい裕福な家庭は、私の通う学区では少数派なくらいだった。


 でも、貧富の差は私の想像以上に大きいものだった。


きっと、彰貴の周りの人達は、お金がなくて大学に行けない人なんてほとんどいないのだろう。
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