イジワル御曹司と花嫁契約
私とお母さんは一心同体。心が繋がっているから、私の悲しみも伝わっていたのかもしれない。


 泣くのを堪えなくていいと分かっても、簡単には涙を零せない。


頑丈に蓋を閉めているから、開けるのも難しい。


でも、いったん開けたらなかなか閉められない。


 大きく息を吸って、止まる。


息を吐くことが難しい。なんて言えばいいだろう。


どこから説明すればいいだろう。


思い出すことがとても辛くて、現実がまだ受け入れきれていなくて、言葉にすることが怖くて……。


 しばらく押し黙ったまま、床を見ていた。


すると、ポツ、ポツ、と雨が降るように、床に涙が零れて染みを作る。


そこでようやく、大きく息を吐いて、押し寄せる感情と涙を爆発させた。


 声が漏れて、涙は次から次へと溢れてくる。


体が悲鳴を上げるように震え出し、堪え切れずに体を丸めた。


「……よしよし」
< 213 / 280 >

この作品をシェア

pagetop