イジワル御曹司と花嫁契約
「それもそうね……」


 お母さんは大きなため息を吐いた。


「そこまで分かっていて別れを告げたのなら、お母さんはもう何も言わない。

でも、もっと彰貴さんを信じてもいいんじゃないかな、とだけ言っておく。

彰貴さんはもしかしたら、胡桃が考えつかないようなアイディアを持っているかもしれない。

二人は最終的には結ばれなくても、こんな悲しい最後にはならないようにしてくれるかもしれない。

どうなるかは分からないけど、彰貴さんをもっと頼っても良かったんじゃない?」


「それは……」


 言葉が続かない。


彰貴に全てを打ち明けるのは怖い。


いい方向に転んだら、それはとても嬉しいことだけど、もしも悪い方向に転がったら……。


お店を潰され、商店街も潰され、彰貴も今以上に傷付ける結果にならないとはいえない。


その可能性は決して低いわけではない。


そんな賭けに出られるほど、私の気持ちは強くない。
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