イジワル御曹司と花嫁契約
 私は怒りで体が熱くなってきた。


母親から子供を奪うなんて、そんな酷い話がある?


「東郷財閥はそうやって不要と思われるものを徹底的に排除して大きくなっていったのでございます。

似たような話は、いくらでもあるでしょう。

たくさんの中小企業が、理不尽な圧力で潰れていきましたから」


 八重木さんは、諦めに似た表情で遠くを見つめて言った。


 弱肉強食の世界で負けたといえばそれまでだけど、だからといって、権力と莫大な財産を使って大切なものを奪うなんて酷すぎる。


心の底から湧き上がる怒りを、どこに発散すればいいのか分からない。


「何にもできないことが、悔しい……」


「わたくしも、同じです……」


 八重木さんは肩を落として言った。


「彰貴にとっては、私もお母さんと一緒なんですね。突然捨てられたと思っているのかも……」
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