イジワル御曹司と花嫁契約
遅い夕飯を終えて、食器を洗いながら、何げなく呟いた。


すると、テレビを見ながら、リハビリのためのストレッチを行っていたお母さんが、待ってましたと言わんばかりに顔を上げた。


 お母さんはもう、一人で歩けるまでに快復して、一緒にお店に出て働いている。


まだ無理は禁物だけど、明るくて親しみやすいお母さんが接客することで、常連のお客さんが店に戻ってきてくれて、お店の経営は回復傾向にある。


「そうそう、そのことなんだけど、お母さん、胡桃にお願いがあるの!」


「お願い?」


 予想以上にこの話題に反応したので、少し面食らう。


いつもは、自分の誕生日すら忘れているし、プレゼントなんていらないと言っているのに。


「その日は一日、お母さんの言うことを聞いてほしいの」


「ええ?」


「お母さんね、前々からやりたいことがあって……。胡桃に付き合ってほしいの」


「え、何をするの?」
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