イジワル御曹司と花嫁契約
「本日は、舞踏会が開かれております」


「舞踏会って、あの、芥川龍之介の小説にもある鹿鳴館で催された大夜会のことですか?」


「舞踏会と聞いて、そちらを思い出されましたか。

一般的には、仮面舞踏会とかウィーンの伝統的な舞踏会が有名でしょうか。

ようは、上流階級の社交場でございます」


「あるんですか、今だに、日本でも」


「もちろんでございます」


 もう、セレブの集まりはわけが分からない。


なんだ舞踏会って。


小説や映画の中の話だと思っていた。


昔はよく行われていたらしいけど、いまだにそんな風習が残っていたなんて。


「それで、どうして私が舞踏会に出なきゃいけないんですか」


 げんなりしながら言う。


上流階級の集いなら、上流階級の方達で楽しめばいい。


私が出席したところで、楽しめる自信はまったくない。


「それは分かりかねます。わたくしはここまで胡桃様を送るようにと指示されただけでございます」
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