イジワル御曹司と花嫁契約
「それは、彰貴からの指示ですか?」


「さあ、和彰様からかもしれませんよ。それか、彰貴様のお知り合いの方か……」


 背中にゾクリと悪寒が走った。


そうか、その線もあるんだ。


まさか、彰貴に彼女ができて、その彼女が私の存在を知って、嫌がらせしようとこんな所に連れてきたとか?


 色んな線を考えるだけで恐ろしくなる。


「……帰っていいですか?」


 心からの本音が零れる。


帰りたい、行きたくない。


「お母さまとお約束したのではなかったのですか?」



 ……そうだった、何でも言うことを聞くって約束した。


なんで母は私をこんなところに。私が喜ぶとでも思ったのだろうか。


確かに、私くらいの年代の女の子は、綺麗なドレスを着て舞踏会に出席することは憧れだと思うけど……。


「さあ、腹をくくっていってらっしゃいませ」


 腹をくくってって……。


八重木さんに向かって乾いた笑みを浮かべて、仕方なく車を降りた。


もう、どうにでもなれ!
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