イジワル御曹司と花嫁契約
周辺の注目を一心に集め、そんな人々の目など気にする様子もなく、悠然と歩を進める。


フロアの中央まで来た時、彼が何を目的として歩いてきたのかが分かった。


彼が一心に見つめていたのは……私だった。


 体が石になってしまったかのように動かない。


思考も遮断して、ただ彼を見つめ続ける。


私たちはお互い見つめ合ったまま、ゆっくりと近づいていっている。


 そして、彼は私の目の前で立ち止まった。


スポットライトが、私たち二人を包み込む。


 ……なんて、言えばいいのだろう。


約一年ぶりに再会した彼は、相変わらず整った顔立ちをしていて、雰囲気が少しだけより大人っぽく艶めいていた。


 彼はいきなり、すっと腰をおろして、片膝をついた。


そして、私を見上げて手を差し出した。


「踊っていただけませんか?」
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