イジワル御曹司と花嫁契約
私はゆっくりと両膝をつき、彰貴よりも少し低い高さで、彼と見つめ合った。


 彰貴の顔は、緊張で固くなっている。


私が承諾するか、まったく読めないようだった。


それなのに、こんな場所で、皆がいる前でプロポーズするなんて……。


彼の本気度を感じた。


 ダイヤの指輪が入った箱を持つ彼の手に、両手を添える。


すーっと息を吐き出し、彼を見て微笑んだ。


「お願いします」


 笑ったはずなのに、頬に涙が伝っていた。


色んな感情が涙となって溢れてくる。
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