イジワル御曹司と花嫁契約
承諾の返事を聞くと、彰貴の顔がパッと華やぎ、溢れる思いを爆発させるかのように私をぎゅっと抱きしめた。


力強く私を抱きしめる彼の胸の中で、会場が割れるような歓声が聞こえてきた。


照明が明るくなり、祝福の音楽が大音量で流される。


 彰貴は、抱きしめていた手を緩め、私の頬に伝う涙を指先で拭った。


愛おしむような優しい瞳。


言葉にしなくても、愛しているよと顔の表情から伝わってくる。



 まるで吸い寄せられるように、口付けする。


キスは熱さを増し、激しさを増し、とろけるような甘い幸せを送り込む。



 シャンデリアがまるで夜空の星のようにキラキラと輝き、音楽と人々の歓声は、大聖堂の鐘の響きと共に歌うオペラの一シーンのようだった。



 夢はまだ、終わらない。                 







【完】

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