イジワル御曹司と花嫁契約
頭から布団を被って、まだ体の奥で燻る甘く切ない欲情を抑え込む。
けれど、目を瞑ると『出会った時から、女として見ていたよ』と言った彰貴の切ない瞳と甘い声がありありと浮かんでくる。
それに、まだ唇が、肌が、彰貴の温もりを覚えていた。
子宮の奥が熱くなる。
ムズムズする。
なんだこれ、やだ、気持ち悪い。
初めて初潮を迎えた時に感じた、自分の体が女になる恐怖を再び思い出した。
「おい、起きろ」
二の腕を揺すられ、気怠い感覚の中でゆっくりと目を開けると、そこには私を覗き込むようにして見下ろしている彰貴の顔があった。
「え、あれ!?私、寝てた!?」
慌てて上半身だけ起き上がり、両手で頬を包む。
昨夜は全然眠れなくて、間違いなく起きたまま朝を迎えるだろうと思っていたのに、いつの間に落ちてたんだ、私。
「気持ち良さそうに寝ていたところ悪いが、急な仕事が入った。もう会社に行かねばならん」
気持ち良さそうって……ばっちり寝顔見られたんだ。うわ、恥ずかしい。
いや、それよりも、今何時!?
ベッド脇にあるデジタル時計を見ると、五時三十分だった。
そしてそのまま視線を彰貴に移すと、スーツに着替えていて髪もしっかりセットされていた。
「あれ?スーツ、どこから?」
「至急届けさせたんだ。俺はもう行かなきゃならない。胡桃はどうする?まだ寝てるか?」
「ううん、私も一緒に出る。弁当屋行かなきゃいけないし」
ベッドから起き上がり、手櫛で髪の毛を整える。
全然寝た気がしなくて、大きな欠伸が出た。
そういえば、彰貴はどこで寝たんだろう。
ベッド、占領しちゃってた。