イジワル御曹司と花嫁契約
私は、所々ぐちゃぐちゃと黒く塗り潰された紙に大きくバツを書いて、その下に「嫌い」と勢いよく書いた。


 これまた自分で書いておきながら、首を捻る。


 いや別に、嫌いなわけではないんだけど……。


「ああ、もう、余計ストレス溜るわ!」


 紙を両手でくしゃくしゃに丸めて、ゴミ箱に放り投げる。


すると、まるで見計らったように、ラインの着信音が鳴った。


 もしかして、彰貴!? と期待に満ちた心が躍る。


ラインを開くと、やっぱり送信者は彰貴で、思わず顔がにやける。


嬉しくて自然と笑顔になってしまった自分に気付き、頬を軽く叩く。


 私が犬だったら、尻尾をぶんぶんと振っている状態だ。


これ以上彰貴に懐いてたまるか、こんちくしょう。


 そう思うものの、心臓は大きく高鳴っていた。


落ち着け、落ち着け、と自分に言い聞かせ、ラインの本文を読む。


「嘘、え……」


 ラインを読みながら、更に胸が高鳴る。


あまりにも心臓の動きが速くなるので、二回読み返さないと内容が頭に入ってこないほどだった。
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