未来絵図 ー二人で歩むこれからー 
成長していくふたり

 甘い日を過ごした翌日からは、怒濤の毎日の始まりだった。ホテル内も、新しいゲストハウスの準備で社長が不在が多くなり、智也が穴を埋める。また、社長がこっちにいるときは、智也が実家に戻るなんて日が続く。

 雑貨に関しては、クリスマス商戦を終えてから閉めることが決まり、通常とおり営業はしているものの、どこからか隼がいなくなると、聞き付けたお客様が来店し、隼は、告白の嵐にあっており、王子スマイルにピシッと亀裂が入るときがある。

 しおりと新司は、業務の合間を見ては、コンテストの準備に取りかかり、生き生きとしている。

 コンテストは8月のブライダルフェアだけではなく、12月のブライダルフェアまで随時、行うことになり、誰がゲストハウスに行くのかは、12月に年に1度行われる決起懇親会で、社長から発表があることになった。

 この行事は、ホテルA'Zでは、お馴染みなのだが、今年はゲストハウスに向けて、大掛かりになるため、クリスマスの次の日から3日間ホテルを閉めることに、決まったのだ。

 その日に正式な異動か発表されることになった。


ー6月下旬ー

 例の保田夫妻の結婚式が行われた。

 ワイン工房ーMATSUーの思い出のワイン。新婦希望のフラワーアレンジ。

 九州まで交渉に行った、思い出深い夫妻の結婚式だったたも、ショップを山川に任せて、四人で少し様子を見に行った。

 ちょうど、担当プランナーだった、やよいさんに、奈々子の作ったブーケが手渡されている部分で、やよいさんのはにかむ顔と、新婦の幸せオーラがただ漏れな顔が印象深かった。

 その後、こっそり戻り、しおりと新司は、コンテストの準備を何かに取りつかれたように集中し出した。



 7月に入り、暑さも増していく。最近、新司は、ドレスのモデルをする二人のフラワーアレンジを開始し出し、しおりは奈々子にお店をお願いし、バックヤードに下がることが多くなった。

 隼も奈々子もしおりか煮詰まっていることは知っていた。見かねた奈々子がしおりを誘いだし、ふたりでランチにきた。

「私、才能がないんですよ…。」

 しおりも誘われた理由が分かっていたため、自分から話を切り出した。
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