未来絵図 ー二人で歩むこれからー
「才能ね…。」
「奈々子さんには分かりませんよね。才能あるんですし。」
ランチが来るのを待ちながら奈々子は、しおりの話に耳を傾ける。
「牧田くんも、うらやましいんです。才能あるし。」
「ねぇ、しおりちゃんの言う才能ってなに?」
奈々子は、しおりの目を見つめながら訊ねる。
"え?"しおりは、目を見開き奈々子を見つめかえす。そんな、質問されると思ってなかったと言うように。
「努力に勝るものはないでしょ?私は、そう思うよ。」
「…でも。」
しおりは、テーブルの上のお冷やのコップをただ見つめ、重いため息をついて、"奈々子さんにはわからないですよ。"と再度、呟いた。
「ねぇ。前のチーフ覚えてる?」
「奈々子さんの前のですよね。覚えてます。」
「私も最初、同じ悩みをチーフに話したことがあるから、気持ちはわかるよ。」
奈々子は昔を振り返りながら、同じ悩みがあったことをしおりに語り出す。
奈々子の前のチーフは、直感的なアイディアに長けてる人だった。打ち合わせ中に、お客様にあったフラワーデザインを目の前で作って見せる人で、ドレスのフラワーデザインも直前に変更になっても飄々とやってしまう人。
彼は、ホテルA'Zの看板デザイナーで、この人にお願いしたいって人が後をたたず、引き継ぎする中で一番大変だった。
彼じゃないとダメ。あなたに彼の変わりは出来ない。
奈々子にお客様が浴びせる声の数々。
才能が自分にはない。自信がない。奈々子は彼にそう訴えてしまう。
ー才能がない?自信がない?奈々子ちゃん。
俺は努力に勝るものはないと思うよ。俺には才能があるんじゃない。奈々子ちゃんより経験があるだけ。経験した分、自信がある。努力もたくさんした。
ただ、それだけ。でも、独りよがりの自信じゃだめ。お客様の希望に寄り添ってるものが出来て、初めて自信を持って提供できる。奈々子ちゃんは、努力してる。足りないのは経験だけだよ。ー
奈々子はその時、初めて、気づかされた。どこかでこの人と比べていたことに。そんな話を懐かしみながらしおりに話した。
「奈々子さんには分かりませんよね。才能あるんですし。」
ランチが来るのを待ちながら奈々子は、しおりの話に耳を傾ける。
「牧田くんも、うらやましいんです。才能あるし。」
「ねぇ、しおりちゃんの言う才能ってなに?」
奈々子は、しおりの目を見つめながら訊ねる。
"え?"しおりは、目を見開き奈々子を見つめかえす。そんな、質問されると思ってなかったと言うように。
「努力に勝るものはないでしょ?私は、そう思うよ。」
「…でも。」
しおりは、テーブルの上のお冷やのコップをただ見つめ、重いため息をついて、"奈々子さんにはわからないですよ。"と再度、呟いた。
「ねぇ。前のチーフ覚えてる?」
「奈々子さんの前のですよね。覚えてます。」
「私も最初、同じ悩みをチーフに話したことがあるから、気持ちはわかるよ。」
奈々子は昔を振り返りながら、同じ悩みがあったことをしおりに語り出す。
奈々子の前のチーフは、直感的なアイディアに長けてる人だった。打ち合わせ中に、お客様にあったフラワーデザインを目の前で作って見せる人で、ドレスのフラワーデザインも直前に変更になっても飄々とやってしまう人。
彼は、ホテルA'Zの看板デザイナーで、この人にお願いしたいって人が後をたたず、引き継ぎする中で一番大変だった。
彼じゃないとダメ。あなたに彼の変わりは出来ない。
奈々子にお客様が浴びせる声の数々。
才能が自分にはない。自信がない。奈々子は彼にそう訴えてしまう。
ー才能がない?自信がない?奈々子ちゃん。
俺は努力に勝るものはないと思うよ。俺には才能があるんじゃない。奈々子ちゃんより経験があるだけ。経験した分、自信がある。努力もたくさんした。
ただ、それだけ。でも、独りよがりの自信じゃだめ。お客様の希望に寄り添ってるものが出来て、初めて自信を持って提供できる。奈々子ちゃんは、努力してる。足りないのは経験だけだよ。ー
奈々子はその時、初めて、気づかされた。どこかでこの人と比べていたことに。そんな話を懐かしみながらしおりに話した。