未来絵図 ー二人で歩むこれからー 
「奈々子さんでも、悩んでる時があったんですね。」

「何言ってんの。今でも悩んでるよ?みんなには見せないだけ。」

「えぇ!!そんな感じ全然しないのに。」

 しおりが驚いてると"プレートランチです。"と二人の前に、出来立ての料理が並べられた。本日のプレートランチの中に、大好きなアボガドを見つけて奈々子は、"アボガドだ。"と、喜んでニコニコしている。

「奈々子さんってアボガド好きですよね。」

「うん!大好き!!」

 満面の笑みを向けられしおりは、ちょっとポッとなってしまった。

「そんな笑顔で、松本さんに好きとか言うんですか?」

「えっ!…言わないよ!」

「またまた~。私、奈々子さんは松本さんと一緒に、行きたいんじゃないかなぁと思ってるんですけど。」

「一緒になんて…。恋人としては、行きたい気持ちあるけど。行きにも残るにも、あなたたちを育てないと!」

 ニコニコしながら、ランチを食べてる奈々子をしおりは見つめる。この人は、自分の気持ちを優先することはないんだと思うと、安心して貰うように、自分も頑張らないとと、改めて思う。

「松本さんはいつ、こっちに帰ってくるんですか?」

「今日戻って来て、明後日、向こうに行くみたいよ。」

「大変ですね。」

「ゲストハウスの打ち合わせは、楽しいみたいで、大変って感じではないけど。遅くまで盛り上がってるみたいだから、そっちは心配してるけど。」

 そう智也は最近は週末はこっちに、平日はゲストハウスな方にいることが多くなり、ゆっくりふたりで過ごす時間はあまりなかった。今回は、ちょっと余裕があるといいけどっと、奈々子は、ふと、思った。そして、しおりに言葉を投げ掛ける。

「しおりちゃん。しおりちゃんはしおりちゃんらしくね。」

 急にそう言われ、面食らうが、"はい。"と答えた。

 しおりはこの日を境に、吹っ切れた感じで、作業に没頭し始め、奈々子は、その姿を、微笑みながらみていた。
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