未来絵図 ー二人で歩むこれからー 
お互いの本音

 朝礼を終え、店内の準備をしているところに、瑞希が血相を変えやってきた。

「奈々子ちゃん!!」

「えっ、瑞希さん?」

 入り口に立つ瑞希は汗だくで、息を切らしていた。

「松っつん。しらない子とイチャイチャしてる!あれ、誰!?」

「はぁ?」

 奈々子は意味が分からずにいるとちょうど、噂の本人が大学生くらいの女の子と一緒にやってきた。しかも、女の子は智也の腕に絡み付いて、はたからみたら、カップルのように見える。

「まりか!離れろ!」

「え~!やだ~。智くんと私の仲じゃん!」

「離れろ!」

 ショップの前で繰り広げられる光景を奈々子たちは、ぼーと眺めていた。

「あっ!智くんのいとこの、長瀬まりかです!」

 智也に腕を絡めることをやめず、ニコリと笑いながら挨拶する。目鼻立ちがハッキリとしており、ばっちりメイク。パッツン前髪に、腰までの髪は栗色のふわゆるパーマ。その瞳は、真っ直ぐ奈々子をとらえている。

 一歩前に出て、奈々子の両手を握りしめてきた。

「奈々子さんですね?初めまして!よろしくお願いします!」

「あっ初めまして。よろしく…。」

 その迫力に圧倒されていると、握りしめられた手にメモのようなものを渡された。

ーちゃんと、見てくださいね。ー

 耳元でささやかれた。

「じゃ私、今から用事あるんで失礼します!」

 ペコリと頭を下げて嵐のように去っていく。その姿をみんなで見送った。智也は、呼び出しがあり、"ごめん、またな。"と奈々子に言いながらホテルに戻っていく。

 瑞希は奈々子に近づくが、奈々子は手の中にある紙を見ながらぼーとしていて、瑞希が近づいたことに気が付かない。

ー12時に大通りのカフェdollで待ってます。ー

 瑞希がその紙を盗み見ていることは奈々子は知らなかった。
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