未来絵図 ー二人で歩むこれからー 

「まぁ、奈々子さんにコクってからは、隠してないけど、邪魔もしてないよ?」

「だから、あのビキニは伊納くんへのご褒美でもあったんだよ?」

 そんな爆弾発言を言ったため、智也の顔に怒りマークが出来たのは言うまでもない。


 陽がだいぶ傾き、バーベキューの良い薫りが立ち込める中、新司と弥生が帰ってきた。手に、ご当地の冷えたビールと酎ハイを抱えて。

「あっリア充まっきーおっかえり~!」

 もうすでに出来上がっているしおりが新司に絡む。

「もう、しおりちゃん!絡まない!飲み過ぎ!」

 バーベキューの準備をしながらすでに何本もビールに酎ハイにとあけていくため、皆が気がついたときは、すでにこんな有り様だった。最初に瑞希に絡みだし、次に隼、智也というように絡みだし、ご飯もの食べたいと言い出したみんなのためには鉄板でパエリアを作っていた奈々子は幸い絡まれずにすんだのだ。

 飲み物を取ろうとした奈々子に対し、しおりは凄んだ目で奈々子をみる。奈々子は、やばい絡まれると思った時にはすでに遅く、ビールの缶をだんっとテーブル置いていた。

 不意に奈々子はしおりに胸を揉まれ始めた。

「この豊満な体。羨ましい!ちょっと分けてください!あっ、柔らかい~!松本さんが独り占め、ずるい~!」

「えっ。ちょっと…しおりちゃん!」

 抵抗していると急に奈々子に向かってしおりが体を預けてくる。どうやら絡み疲れて眠ったらしい。みんな安堵のため息につつまれる。隼は、奈々子を松本さんから奪ったらどうかと絡まれ、瑞希は元カレって次来る支配人であるネタで絡まれ、智也は、奈々子に対する独占欲と性欲について絡まれ、みんな疲れきっていたのだ。しおりの分はとって置くことにし、みんなでバーベキューを、堪能した。


 結局、しおりは起きることなく、隼が抱えてリビングのソファーベットに寝せても、寝息を立てていた。

 男女の話し声と笑い声が、聞こえふいに、しおりは目を覚ました。自分がリビングにいることをぼーっとしながら考えていると、壁の時計が5時半をさしていた。

「みんなお酒飲んだから、しじみのお味噌汁。しじみキーパーに入ってたから。」

「美味しそうだな。奈々子、味見。」

 智也があーんと開けて奈々子がスプーンで、お味噌汁を流し混む。そんな様子をしおりは頭だけ起こし眺めていた。ふと、二階に目をやると、そこには二人を眺めている隼の姿があった。隼と目が合うと、しおりに向かって人差し指を口に持っていき"しーっ"と合図をして、部屋に戻っていった。しおりはまた、布団をかぶり直し二度寝した。
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