未来絵図 ー二人で歩むこれからー 
 一年前、入社して二年になり、やっと仕事にも慣れてきて、楽しくなってきた頃に、確かにこの男にー俺と仕事にどっちが大事?ーって聞かれた。

 ーやっと二年目だよ。これからじゃない!今は仕事したいよ。あたりまえじゃん!そんな質問聞きたくない!そうゆうの比べる人とは思わなかった!ー

ーじゃ、しょうがないね。オレを一番に考えてほしいし。別れよう。ー

ーそうだね。もう無理だわ。ー

と、言う会話をして別れた。

 あすか程の大恋愛じゃなかったが、高校時代から付き合っていた二人は、すごい簡単に7年間を終わらせた。
 
 もうこの時すでに、むかし、カレに抱いていたときめきや、二人の未来は見えなくなっていて、心には別の人が、見え隠れしていた。

「もう、24歳だしさ。7年間付き合ってたんだ。あの二人みたいにさ、ゴールしても良くない?」

奈々子はさらに、顔をひきつらせた。

 ここは、友人の結婚式。しかも自分の職場だ。そう何度も自分に言い聞かせる。

「あのさ別れようって言ったのあんただよ。自分が一番じゃなきゃ嫌だっていって。それに、もう過去のこと。24歳とか7年とか、そんなのどうでもいい!頭おかしんじゃない?」

 奈々子は、低い声で冷静につぶやいた。

 近くには、マイクを持った司会者がオロオロとしている。まさか、公開プロポーズを断る人がいるなんてと思っているにちがいない。

 「7年間付き合った俺、大事じゃないわけ?情とかないわけ?」

 少しイラついた声で元カレが言う。

 奈々子は、さらに低い声で、言った。

 「あんたはとの未来が見えない。私は、あんたのこと、大事じゃないよ。」

 そう言うと、"お手洗い‼"と言って会場をあとにした。
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