未来絵図 ー二人で歩むこれからー 
「お手洗い行ったきり、帰って来ないからさ、探しちゃった。そしたら、LINEきてたから、良かったよ~。」

と、かおるが言った。

「高校の時とイメージ違うし。女々しくて嫌になる、奈々子の、気持ちわかるよ。」

 美子が、目の前にあるチョコをつまみながら言う。会場を出たあと、二人にーほのぼの集合ーとだけ、LINEしておいた。

「あすかは大丈夫だった!?」

と、カルアミルクを、のみながら奈々子が、聞くとかおるはあきれたようにため息をつき、

「"私、勘違いしてたのかなぁ。まだ、奈々子は未練があると思ってた。"とか言うのよ!あすかが、何か旦那に言って、元カレあおったのよ!」

と、あすかのモノマネまじりで話す。

「え~!!じゃ、あすかちゃん、より戻させようと思っていたの?」

「みたいだよ。奈々子には、もう、松本さんが心にいるのにさ。」

とかおるが奈々子の顔を見て言うと、美子は机をバンったたいて、

「私、聞いてないよ!奈々子!」

と、身を乗り出した。

「ごめん、ごめん美子。今日話そうと思ってたんだ。気になる人がいるんだ。職場に。」

 奈々子は、スマホの待ち受けをみながら、"ご利益あるかなぁ"とつぶやいた。
 スマホの待ち受けには、元カレと別れた時に、4人で行った旅行先の縁結びの樹を写メしたものだ。
 有名な恋愛成就の樹らしく、写真撮って待ち受けにするといいってきいて、四人で待ち受けにしたんだった。

「あっもしかして、奈々子!あの同期の人?ここであった!」

 美子が、興奮したようにさらに身を乗り出した。

「う、うん。その人。…そう言えばここであったことあったね。」

 奈々子が職場の同期でここに来たとき美子とあったことがあったからだ。

「だから、職場であんなことしてほしくなかった!」

 奈々子は盛大にため息をついて、セットされてたハーフアップをぐちゃぐちゃにし、頭を掻いた。

「あららっ。髪の毛ぐちゃぐちゃ。あっ!あったあった。これ使って!!」

 かおるが鞄をごそごそして取り出したのは、可愛いリボンモチーフのバレッタ。奈々子は、急に笑顔になった。

「あっ可愛い~。もしかして、かおるの手作り!」 

 かおるはうなづいて、奈々子の髪をバレッタでとめてくれる。"子どもたちのていでにね~。"と言った。

「松本さんに、見られてたら確かに嫌だよね。」

 かおるの言葉に奈々子も美子もうなづいた。 

 高木奈々子(24歳) 
 人より明るくはっきりとした性格
 ココアブラウンに染めた、ふんわりウェーブのセミロングヘアは、幼顔を大人な顔に演出している。

 人並みのスタイル、人並みの容姿。

 でも、迷惑な公開プロポーズのせいで、悩みは人1倍イヤ、それ以上になっので、あった。
< 3 / 143 >

この作品をシェア

pagetop