未来絵図 ー二人で歩むこれからー
午後2時 社長の知り合いの方たちの結婚式の装飾の打ち合わせに、新司と参加した。
参加し終えた新司は"勉強になったっす。"と頭を下げた。
自由に作品を作るのが好きな新司は、スキルが合っても、お客さまのニーズにそって作ったことはなく、お客さまのニーズに沿いながらという経験はいままで体験したことがなかった。
奈々子は、装飾の打ち合わせの際は、結婚式の時にメインになりそうなバラやリシアンサス、ガーベラなどを持参し、色味を大方決めてもらうことにしていた。
後日さらに、そのときのヒアリングでききとったことをベースにし、全体的の装飾については、絵でイメージを固め、各テーブルの花に関しては実際ショップで見てもらう形式をとっていた。
それは、独自でしていることで、奈々子のやり方。
今まで誰かがしていたわけじゃないが、少しでもイメージを分かりやすく伝えたくてやり始めたことだった。
それがいつしかホテルA'Zでのウェディングを選ぶお客さまから指示を得ていた。
ショップに戻ると、しおりが、駆け寄ってくる。
「お帰りなさい!奈々子さん。」
「ただいま。慌ててるけど何かあった?」
「1時間前に総支配人から連絡がありました。緊急臨時運営会議を16時からするので、チーフと後一人出すようにと。」
「16時からって過ぎてるっすよ!」
しおりの言葉に新司が、答える。
「総支配人のハゲのことだから。絶対わざとだよ!」
「ハゲっていったらダメっしょ。隼さん。」
「打ち合わせだったんだから仕方ないよ。遅れるのわ。んで、誰が行く?」
隼としおりは一斉に目を反らし、"仕事、仕事~。"とそそくさに逃げていく。
「まっきーよろしく!」
奈々子に苦笑いでお願いされたが、その苦笑いの意味はすぐに分かることになる。