未来絵図 ー二人で歩むこれからー 
ガルディオの買収
「おはようございます。」

 休み明けに奈々子が出勤すると、ロッカーを開けると、"おめでとう~。""ついに、松っつんの夢がかなったね~。""おめでとうございます!"と口々に言われ、ハニカミながら、ありがとうを言うのが精一杯だった。

 やよいと瑞希からは、"どうだった?"と意味深発言され、周りに聞こえていないかヒヤヒヤさせられた。

 そんなみんなから祝福を受け、幸せ気分だった奈々子だが、打ち砕かれることになる。

 午後3時。交替で休憩をバックヤードでとっていると、山川が血相を変えてみんなを集めにやってきた。

「何があったんですか?」

「ガルディオが嶋多に買収されたんだ。」

「えっ!?」

 みんなが、山川の顔をみる。ワインの仕入れのフラワーSHOP全体の仕入れをほぼガルディオで行っていたため、SHOPには大打撃だ。

「仕入れはどうなりますか?」

「嶋多の社員が今、挨拶に来ているらしいが。今までとおりは難しいだろうな。」

 みんなが、静まり返る。ガルディオは、都内では、一番安い仕入れ先で、それを仕入れすることで、ウェディングやイベントで、売り上げを伸ばすことが出来ていた。仕入れが上がれば見直さないといけない部分がたくさん出てくる。

「でも、なんで今頃、買収なんっすか?」

「分からんな。」

「ジューンブライド控えてるのに…。」

「まずいな。」

 また、静まる。

「とりあえず、今日は店仕舞いして、臨時会議に来るように連絡があった。」

 山川の指示に、みんなで店内店頭の片付けを行うが、頭の中は不安で一杯だった。

 片付けを終え、全員で臨時会議に向かう。社長の近くには、見知らぬ女性が座っていた。

 自信ありげな真っ赤なルージュ。黒い真ん中わけのストレートロングヘアー。高級な白いスーツに身を包み、足を組んでいる。

 何故か奈々子は皆から注目され、見知らぬ女性からは、上から下までみられた。     
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