未来絵図 ー二人で歩むこれからー 
 社長は、上座の席で困り顔をしている。その横には、ニヤニヤ顔の総支配人が座っている。奈々子たちは、会社が困っているのに、ニヤニヤしている総支配人に嫌悪感を抱いた。

「早く、座りたまえ。話が進まん!!」

 総支配人に嫌みっぽく言われる。

「今、既に皆様にはお話をしました。私からお話させていただいて宜しいでしょうか。」

 女性が立ち上がり社長に求める。社長は、困り顔で頷く。それを確認すると、奈々子達メンバーに対して一礼した。

「嶋多ゆきと申します。この度、貴社のワイン・花関係の担当になりました。嶋多が買収しましたので、これまでのように最安値での取引は行いません!仕入れ額が8%上がると考えてください。」

 奈々子たちは、呆然とする。8%なんて、あり得ない話だ。とくにブライダルには花を欠かせないが、8%になると、予定の装飾は出来ないし、だからと言って今までのように行うとすぐに赤字になってしまう。

「それは、どうにかならないんでしょうか!!」

 山川がゆきに詰め寄る。

「今、発注をかけているのについては今までの金額で行きます。これからの発注に関しては8%です。」

 そこで奈々子は、はっとする。これから、発注する中で予算内でどうにかしようと、粘り、やっと、予算とお客様のニーズがあうことが出来た保田夫妻の案件を思い出す。だが、その仕入れが最安値であるという条件のもとだ。

「あなたが、チーフの高木さんですね?」

「はい、高木です。」

「買収の際、向こうから保田夫妻の案件について、お願いをされたんです。ギリギリまでやり取りしてやっと保田夫妻の納得いく形でまとまったんですよね?でも、嶋多としては、何の利益もないと、判断しましたので、賛同出来ないんです。」

「でも、今更プランの変更はとても。利益は少なからずあると思います。」

「でも、私はその考えには賛同できませをし、嶋多自身も賛同出来ないんです。」

「ですが、メインの花は、都内ではガルディオでしか取り扱ってないですし、今更プラン変更はできません。」

その様子をみんな固唾を飲んで見守っている。ふっと、ゆきが笑い、質問を投げ掛ける。

「高木さんは、欲しいものが出来たら、妥協出来ずどんなことをしてでも手に入れるタイプ?それとも、諦めて別なルートを探すタイプ?」
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