未来絵図 ー二人で歩むこれからー 

「質問の主旨が分かりませんが。欲しいものを諦めたりはしません。」

「そう…。私はどんな手をつかっても欲しいものは欲しい。」

「そうですか。」

 奈々子は、よく分からず首を傾げながら答える。しばらくの沈黙のあと、総支配人が口をひらく。

「花関係も打撃だが、ワインに関しても大打撃なんだ。だが、打開策を嶋多さんが出してくれたんだよ。それが可能なら何の心配もせず、今までとおりだよ、高木チーフ。」

 それを聞いた社長が、怒りを露にし、机を叩いて立ち上がる。

「総支配人!その件は断った!何を考えてるんだ、君は!?」

 今だかつてこんな社長を見たことない社員は驚きを隠せない。

「ホテルのことを考えているんですよ?」

 社長と総支配人に睨みあっている。

「まぁまぁ社長さんも支配人さんも。みなさんの前で。」

と、ゆきに嗜められる。奈々子は、事の成り行きを見守る。

「私、何回もここを利用し、その度に、あの人が欲しいと思うようになりました。どんな手段を使っても。絶対に。」

ーあの人ー

 奈々子は、嫌な予感がした。

「率直に言います。松本さんを私に下さい。」

 奈々子の目を見てしっかり伝えられた、その言葉に会議室中が静まり返る。奈々子は、びっくりし過ぎて声がでない。空いた口が閉じないとはこのことだ。呆れて呆然としている奈々子にゆきが問う。

「聞いてます?」

「あっすみません。あまりにも理不尽なこと言われるので。呆れてしまって。」

「なんだその言い方は!嶋多さんに失礼じゃないか!」

 憤慨する総支配人は、奈々子を、しかりつけるとゆきに頭を下げ、すみません、すみませんと言っている。
 その様子を、しらけた目で会議室のメンバーは見ているが、そんなことはお構い無しに総支配人は、謝り続けている。
< 65 / 143 >

この作品をシェア

pagetop