未来絵図 ー二人で歩むこれからー 
「私は気にしませんわ。もう一度言います。わたし、どうしても、松本さんが欲しいんです!あなたから、松本さんに話してくれませんか?」

 奈々子は我慢していたため息をついて、ゆきをじっと見つめた。

「松本チーフとはお付きあいしてます。あなたのことが好きで別れたいと話してきたら、別れます。」

「……!!」

 ゆきは顔を真っ赤にして、唇をかむ。

「お前はホントにわかってないんだよ!わかるか、ワインが今までとおりの値段で仕入れることが出来るんだぞ!ここの売りのひとつではないか!?色々な地方、国から集められたワインが堪能出来るのをお客様は楽しみにしているんだ!大きな損害なんだよ!」

「総支配人!!」

 社長が今にも掴みかかりそうに身を乗り出している。

「高木さんも、困りますよね?今度の案件は、都内にはガルディオにしかない、花を使うんですもんね?政界に顔が聞く方ですから、ここの評判は悪くなりますよね。」

「結婚式は、6月の最終日曜です。それまでにどうにかします。ですから、松本さんのことは、諦めて下さい。」

 奈々子は、挑戦的な微笑みをゆきに向ける。一瞬ゆきは、たじろぐがらすぐに、キッと奈々子をにらみつける。

「私は、言いましたからね!後悔するわよ、きっと!!」

「せっかくの申し出を!」

 総支配人は、またもや、ゆきの機嫌を窺っている。

 それまで、話の流れを見守っていたメンバーは、すくっと立ち上がる。

「まじ、ありえないっすよ!後悔なんてしないっす!」

「俺はあんたのこと好きになれないな。まぁ、松本さんも、あんたなんて、タイプじゃないよ。」

「あっ嶋多さん、お帰りはあちらです。」

 次々にゆきを苛立たせる言葉を並べられ、ゆきは握りしめた手を震わせている。

「不愉快だわ!…失礼!」

 しおりが指差した方に歩いて行き、会議室をあとにする。

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