未来絵図 ー二人で歩むこれからー
ホテルA'Zは都内にあるちょっと高級感漂うリラクゼーションホテル。
エステやカフェ、雑貨とフラワーショップを併設しているため、ホテル業務以外に勤める人たちのことを技術職と呼び、ホテル業務に携わるものを、一般職とここでは呼んでいる。
奈々子は、高校の時からのバイトや経験を生かし、雑貨&フラワーA'Zに就職したいと思っていたが、今期の募集はないときいていたので、空きが出るまでは一般職で頑張ろうと一般職で、内定をもらっていた。
だが、先日、急にー今期募集することになったんですが、どうでしょうかー と電話がかかってきたのだった。
「社長が、技術職の募集かけようとしたら、履歴書に技術職やれる人が見つかったって話してたからさ。」
と、智也は微笑んでる。
「そうですね。人事から連絡もらいましたよ。ん?社長と話すことあるんですか?松本さん。」
奈々子は、社長の名前が、出てきたため聞いてみる。
「松っつんは、社長から声かけられたんだって。お気に入りみたいよ?」
瑞希が"さっき、先輩たちはなしてたもん。"と。やよいは、"大変ね?お気に入りなんて。"と、笑ってる。
「いや、お気に入りじゃらないんだけど。あっ、奈々子も、松っつんでいいよ。」
と、爽やかスマイルをされたが、松っつんとはさすがに呼べないと思い、
「お気に入りなんだ、松本さん。」
と、返した。
それから、奈々子は、ふたりと同じように松っつんとはよばず、何で、奈々子と呼び捨てなんだろうとか、はっきりとした性格のはずなのに、はっきりさせることが出来ず
ー奈々子ー
彼氏以外によばれ、ちょっとくすぐったいような、ほんのり、心が、暖かくなるような、そんな感覚は初めてで、呼び捨てなんてやめてとは、言えずに、今に至る。
この気持ちに名前をつけるなら、淡い恋心なのだと、気付くのに、時間はかからなかった。