未来絵図 ー二人で歩むこれからー 
ワイン工房ーMATSU ー

 九州に来て、3週間。奈々子と新司はとあるワイン工房にお世話になっていた。

「はぁ~。めちゃくちゃ暑いっすね!」

「でも、おいしいワインのためだもんね!葡萄の剪定なんて、10年ぶり。」

「高校時代に奈々子さんは何やってたんっすか?」

「連休の度に、農業生活の旅!」

 奈々子は、剪定ばさみをパッチンぱっちんさせながら新司と話す。

「あっだから特殊経歴者なんっすか?」

「えっ!特殊!?」

「社長から、面談ときチラッときいて。」

「あ…。何を特殊って言われてるかわからないんだけど、資格ならたくさん持ってるよ?」

「楽しそうっすね!あっ昼みたいです!」

 九州での花の契約はこの二週間で、全部契約にこぎつけた。それは見事だとしかいいようが、ないくらい。それも、今までと同じ価格でそれ以上に品のよい花を。

 ースイートピー農家ー
「茎が曲がったの、まだ処分しているんですか?だったら、この値段でうちのショップに卸して貰えませんか?」

「えっ!?こんな高く?」

「うちではこの値段で仕入れられたらとても助かります!」

「でも、茎が曲がってるのブライダルには使えないよ。いつもまっすぐのじゃないとって言われるし。」

「大丈夫です!花の色や品種はここに勝るとこはないんです。曲がってたら、それを生かしたアレンジやブーケにすればいいんです!それは、私たちの腕のみせどこれろです!処分するなんてもったいない!」

「うちのスイートピーをそんなに言ってくれてありがとう!」

と、いう会話をどの農家でも奈々子は、はなした。

 トゲがたくさんあると言う理由で、めずらしいバラの買い手が見つからず、処分しているバラ農家でも。

 花が標準規格よりあまりにも大きかったり小さかったりするため、処分しているラナンキュラス農家、トルコキキョウ農家でも。

 そしてウェディングやショップ内に必要な商品の仕入れ先がほぼ決まっていた。
< 71 / 143 >

この作品をシェア

pagetop