未来絵図 ー二人で歩むこれからー
今は、兼業農家が多いため、メインの花以外にも、その花の関連商品を作っている所や、季節によって、別のものを作っている所もあり、それも、取引が成立した。
ここ、ワイン工房ーMATSU ーも、そのひとつだ。
奈々子は、高校時代から度々訪れている兼業農家で、ワインの他に葡萄の花漬けが人気だ。葡萄の花は希少価値が高くなかなか見ることも花を使う商品には出逢えないため、九州に来たときは必ず手伝いをしに来るのだ。手伝いを始めて、1週間。ここに滞在施設が、あるためお世話になっている。
「奈々子ちゃん、今年の花漬けが出来たのよ。食べて食べて~。」
ここのオーナーの奥さん、智衣(ちえ)さん。奈々子の大好物パンケーキの花漬け添えが出てきた。
「うわっおいしそうっすね!奈々子さん一口!!」
「はいっ!!」
奈々子は、口を開けた新司に何の気なしに、パンケーキを口にいれてあげる。アーンする形になったことに新司が気がついた。
「すみませんっす!松本さんに、半殺しにされるから、黙ってて下さい!」
「えっ!?そんなことでは怒らないでしょ!?」
「いやっ?多分、アーンなんてって。言いますって!」
「言わないって。」
そんな様子を智衣に笑われる。
「兄弟みたいね!話の流れから、奈々子ちゃん、ついに彼氏できたのね~。」
「はい。えへへっ。」
智衣は、にっこと笑って、"新商品"と、机の上に葡萄の花の押し花にした、石鹸をおいた。"可愛い~。"と奈々子は感激し、裏をみたい、匂いを嗅いだりしてる。
「あっそういえば、オーナーたち、うちの社長と知り合いなんっすか?」
「私も聞こうと思ってたんだ。社長が知ってる感じだったので。」
契約を終え、二週間ここに滞在したい旨を伝えると、あっさりとOKがでて、よろしく言っといてなんて言ってたのだ。
「古くからの知り合いよ!今は息子がお世話になってるのよ。ねぇ~あなた。」
「あぁ。」
奥から顔を覗かせた主人に智衣に声をかける。