未来絵図 ー二人で歩むこれからー 
 社長を見送り、やよいと瑞希も出勤していき、オーナー夫妻、智也と奈々子がロビーに残った。

「オーナー、智衣さん。本当にお世話になりました。」

 奈々子が深々と頭を下げる。

「お世話なんてしてないじゃない。ずっと友達でいてくれたのは奈々子ちゃんじゃない。本当に自慢の息子と可愛がってた友達が出会ってくれて、うれしいの。」

「智衣さん。」

「ふたりをみてると、お世辞抜きで似合ってるよ。」

「オーナー。」

 奈々子は、自然と笑顔になる。

「ありがとう、気を付けて帰って。」

 智也は、タクシーに向かって手をあげながらふたりに声をかける。

「あぁ。また、仕事で付き合うことがあるから、こっちくる機会が増えるかもな。」

「またね。次は、二人で帰ってきてくれるかしら。うふふ。」

 ふたりは、そう言いながらタクシーにのり、帰っていった。

「空港まで送らなくて良かったの?」

「ああ、寄るとこあるらしい。…さっ俺たちも行こうか?車そこ停めてあるからさ。荷物かして?」

 1泊分の荷物を智也に渡し、荷物がなくなった手を握り、指を絡めてきた。

「恥ずかしいよ。」

「ダメ。皆に見せびらかしてるの。あっほら、ショップのみんな見てるよ!」

 そう言われて、横を見ると、新司が大きく手をふり、それをしおりと隼が止める様子がみられた。

 奈々子はうつむき加減でショップの横を足早といく。

 終始、智也はにこやかな笑顔で上機嫌だ。
 
 智也の車は白の8人のりのファミリーカー。荷物を後ろにのせるように言われ、助手席側から乗せていたら、いつの間にか背後に来ていた智也に引っ張られ、振り向き様に唇を塞がれた。

「…っん。…ん。」

 何度も何度も唇の向きをかえながら、最後には舌まで絡ませる濃厚なものになってきたため、少し智也を押しやると、"わるいっ!"と智也が離れた。

「…我慢出来なかった。これ以上はまずいから、行こうか?」

 智也に促され、真っ赤になりながら奈々子は頷いた。
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