未来絵図 ー二人で歩むこれからー 
 奈々子さんは覚えていないかもしれないが、出会いは大学の時にバイトしてたbar。ある大学の飲み会で彼女がバイト先に来た時。付き合いで来た感じで、最初から輪には加わらず、ひたすらのみ食べし、話かけたら返す、そんな感じだった。

 当時も今と変わらず、王子スタイルで、他人とは距離をとり、上部だけの付き合いをしていた俺。

 その時の彼女に、付き合ったら全然王子じゃないと、そのバイト先にきた彼女に別れを告げられ、別れたとこを奈々子さんに見られた、声をかけられた。

ーごめん、立ち聞きして。ー

ーいや、大丈夫です。ー

ーつらいわね。ー

ー別に、ただ、別れただけだし。ー

ーあぁ。それもだけど。見た目でイメージを押し付けられることに対して、私は言ってるんだけど。ー

ーえっ?ー

ーイメージを押し付けられることほど、つらいことはないよ。違う?ー

 俺は、絶句した。初めてこんなこと言われた。友達すら気づいてくれないことをこんなあっさりと。

ーあなたの中身も分かってくれる人がいるといいわね。ー

 彼女はそういうと、仲間に声をかけて店を出ていった。後を追うと、ガードレールに腰をあて彼女に手をあげる、当時の彼氏の姿があった。


 次にあったのは、ホテルA'Zに勤める前に、勤めていた大手のインテリア雑貨店本部。社長と一緒に奈々子さんが仕入れにきたとき。すぐに、彼女だと分かった。

ーまた、伊納のやつ。営業成績上位でさ。ー

ー絶対、枕営業してるよ!ー

ーいいよな、顔がいいやつは!ー

 営業部で、俺の噂話。社長も奈々子さんもきいている。もちろん、買い付けに来ている他の会社の人達にも。

(まぢ、ありえない!お客さんがいるのに!なに考えてるんだ、こいつら。)

 そう拳を握った時だった。

「あの。周りに聞こえてますよ。」

 奈々子さんが営業部の人たちに声をかけた。横にいる社長は、奈々子さんに対して、"あっやっぱり、注意するんだ"と呑気なことを言ってる。

「伊納さんがどなたか知りませんが、男の嫉妬は見苦しいですよ?それに、そんな噂話を聞かせる会社は正直どうなんだろうって思ってしまいますから、会社のためにも、そうゆう会話やめてくださいね。」

 そう注意をした。俺はこの人にまた助けてもらった。次は、この人の力になりたい。そう考えてる時に、社長から誘われたんだ、ホテルA'Zに。
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