未来絵図 ー二人で歩むこれからー 
俺のけじめの付け方ー隼sideー

 俺は今日、伝えようと思う。

 元々、ふたりは相思相愛で、間に踏み込む余地なんてこれっぽっちもなかった。
 
 なのに、あの男は、独占欲丸出しで、俺への当て付けか、自分の所有物の証のように、首筋に赤いしるしをつけ、俺の前に連れてくる。

 伊納 隼。俺も、奈々子さんに対する気持ちなら、あの男には負けないのにと、いつもそう思う。だけど、肝心の奈々子さんの気持ちは俺にはない。悲しいほどに、眼中にない。

ーハグまでなら許してやる。それ以上したら、殴るだけじゃすまないからな。ー

 さっき、すれ違い様に言われた言葉。あの男は気がついていたんだと。それでも、ふたりきりにするのは、自信があるからなのかと思うと、つらくなる。

 道中どんな話をしたか覚えてない。

 気がついたら、奈々子さんの部屋の前に来ていた。

「どうぞ。」

"おじゃまします。"

 部屋に足を踏み入れた瞬間、あっ、奈々子さんらしい部屋だな。と思ってしまった。

「そこら辺に座って、テレビでも見てて?」

 そういわれたとき、机にある写真に目が行った。奈々子さんと松本さんの写真だった。温泉旅行の時のようで、ふたりとも浴衣姿だ。

「あっ、恥ずかしい。片付けるの忘れてた。」

 横から写真を取ろうとした奈々子さん。ふと見ると料理をするために、髪の毛をアップにした奈々子さんの首筋に赤いしるしを見つけてしまった。

「奈々子さん、キスマーク見えてますよ!」

「あっ。見ないようにして!髪あげないと料理出来ないし。」

「朝から気がついてたんで、別に大丈夫ですよ。」

「ごめんね、気を使わせて。」

 奈々子さんは、すぐに、キッチンへ消えて行った。

 テレビを見ながら、奈々子さんの気持ちを振り返った。

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