イケメン上司と とろ甘おこもり同居!?
みんなが、うんうと深く同意する。
その集団がずらずらと、社員食堂に入っていって、私は肩が落っこちるくらい大きく息を吐いた。
その場に残った一人が、不審そうに私を見た。


「辰巳さん、どうしたの?お疲れ?」
「いや、そうじゃないんだけど…」
「悪いんだけど、辰巳さんに頼みがあるんだ」


同期は私の目の前で、ぱちん、と両手を合わせる。嫌な予感がした。


「飲み会までに、日浦たちのお祝いを準備しておいて欲しいんだ」
「お祝い…?」私が?


どんどん、表情が堅くなっていくのが手に取るように自分でも分かる。


「わ、私、そういうセンスないから…!他に適任の方がいるんじゃ」
「なに言ってんの、辰巳さんこそが適任でしょう!日浦とよく飲みに行ったり、同期の中でも特別仲良いじゃん」
「……っ」


じゃあ、任せたよ!と言い残して、同期が社員食堂に入っていく。

じり、っと足を動かして、少しだけ中を覗いて見ると、日浦と角倉さんが同僚たちに囲まれて、笑顔で見つめ合っていた。

幸せムード一色なのに。
“特別仲の良い”同期の私だけ、取り残されたみたいだ。

好きな男性からあんな風な柔らかい笑顔が向けられるのが、みんなに祝福されて幸せの中心にいるのが、もしかしたら。

私だったかもしれないのに。
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