イケメン上司と とろ甘おこもり同居!?
「…に、似てますか?私にはただの女の子のマスコットに見えますけど」
「ほら。猫、被ってる。」


ボールチェーンを摘まんで、鈴木さんはその女の子を目の高さに掲げた。
つまらなそうに睫毛を伏せて見つめる先で、ゆらゆらと揺れるそのマスコットは、有名な猫のキャラクターの着ぐるみを着ている。


「ど、どういう意味ですか、それ。失礼ですよ」
「君だって笑ったでしょ今ちょっと」
「笑ってません。……あ!それよりもこっち、鈴木さんにそっくり!」


キーホルダーが並ぶ棚から、後ろの方に隠れていた熊のマスコットを引っ張り出す。


「これのどこが僕に似ているのですか」
「眠たそうな細い目と、ばってんに結んだ口です」


毛むくじゃらで、特に頭部がもじゃもじゃしてるとこなんかもそっくり!なんて言い合っているうちに、とても可愛くギフト用のラッピングが仕上がった。


「さ、君の用は済んだでしょ?今度は僕に付き合って貰います」


雑貨屋さんを出て、鈴木さんはいつもの抑揚のない声で言った。


「え?靴下ですか?」
「違います。」


そろそろお昼時ということもあって、街は人手が多くなってきた。
先を歩く鈴木さんを見失わないように、私はほとんど駆け足で背中を追う。
途中、足を止めた鈴木さんが、ちらりと振り向いた。


「そんなにちんたら歩いてたら、ランチの前に日が暮れちゃうのですが。」


言うが早いか。
私の手から、お祝いのプレゼントを奪い取ると、反対の手で手首を掴んだ。


「…持ってくれるんですか?悪いです!」
「いいから。黙って」
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