イケメン上司と とろ甘おこもり同居!?
次の自分の行動は、神がかったかのように素早かった。

私は鈴木さんの手を振り払うと、急ぎ足で部屋を出る。見てはいけない、聞いてはいけないものだった。今のは、たぶん。
部屋を出て、キッチンに戻り、パンケーキの脇に両手を付いた。


「び、びっくり、した……」


寝惚けてるんだよね。
いきなり手首を握るんだもの。


『ごめん……』


うわ言のように。鈴木さんは、囁いた。

どんな夢を見てるんだろう。
誰への、謝罪ですか__?


『どうやら鈴木さん、最近奥さんと喧嘩でもしてるんじゃないかって専らの噂らしいよ』


「……奥さん……?」


テーブルから両手を持ち上げ、掴まれた手首を反対の手でさする。

全然力強くなかったから、痛くなんてなかった。ただ、最後に残った温もりを、確かめるように。

私は何度も、摩擦で鬱血するほど。手のひらでこすった。
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