イケメン上司と とろ甘おこもり同居!?
「そういえばここ来るとき、遊歩道通ってきたんですけどやたら警官多くありませんでした?」ぽりぽりときゅうりを咀嚼しながら、碓井さんが言った。
「あそこってよく、不審者情報があるから。警らを強化してるんじゃないですかね」真下さんが言うと、顔を見合わせた周りの女子たちがざわつき始める。


『なに嫌がってんだよ、先に笑い掛けてきたのはそっちだろ?こっちに来いよ!楽しませてやるぜ』


頭の中で、ひとりでに回想が始まって。背中にぞっと、悪寒が走る。


「__決まった?」


ぱたん、とメニューを閉じた鈴木さんが、それを私に差し出した。


「へ?鈴木さんが食べたいんじゃ…」
「こんなクソつまらない集まりに頑張って参加した、ご褒美。」


きっぱりと言い切った鈴木さんは、辟易とした顔で、同僚たちに囲まれる笑顔の日浦たちを見た。


「クソつまらない、って…。じゃあ鈴木さんは、どうして来たんですか?ここに」
「君はこの後、遊歩道を通って帰ってくる。遅くなると心配だから」
「っ、」


傍に同僚たちがいることに配慮したのか、鈴木さんは囁く加減で言った。

騒々しい宴会の雑音が、周囲に馴染んでいるというのに。鈴木さんの言葉だけが穏やかに、私の鼓膜を刺激する。

正座がきついけど、足を崩せない。


『もう、大丈夫だから。』


肩が触れそうで、触れない絶妙な距離感に、意識が集中しちゃったらもう、抱き締められたことを思い出して、窒息しそうになる。

どうせまた、からかうつもりです、よね。
だって__


『先輩も言ってたけど、あの若さであの役職は異例だって。だから、結婚してるのは確かだよ』
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